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高尿酸血症の原因・症状・検査・治療について

高尿酸血症とは

高尿酸血症は、尿酸と呼ばれる化合物の血液中の濃度が通常よりも高い状態を指します。
尿酸はプリン体と呼ばれる物質の代謝産物であり、通常は尿に排泄されます。
高尿酸血症は尿酸の生成が増加したり、排泄が減少したりすることによって発生します。

高尿酸血症の原因

1. 遺伝的要因

高尿酸血症は遺伝的な要因によって引き起こされることがあります。
高尿酸血症や痛風を持つ血縁者がいる場合、遺伝的要因の影響が考えられます。

2. 食事

食事は高尿酸血症の重要な要因です。
特に以下の食品や栄養素が関与しています。

プリン体

プリン体は体内で尿酸に変換される物質で、下記のような食材に多く含まれています。

肉類

特に内臓肉(肝臓、腎臓、脳など)には多くのプリンが含まれています。
また、赤身の肉や肉のエキスも比較的多くのプリンを含みます。
それらのだしを多く使用した料理(ラーメン、つけ麺、うどんなど)にも多くのプリンが含まれています。

魚介類

サバ、イワシ、鰻などの魚にもプリンが多く含まれています。
特に鰻は高プリン食材の代表と言えます。

貝類

貝類にも多くのプリンが含まれており、特にアサリや牡蠣は注意が必要です。

お酒

アルコール飲料にはプリンを生成しやすくする作用があり、特にビールは高尿酸血症のリスクを高めるとされています。

砂糖

高糖質の食事や砂糖入り飲料の過剰摂取は、インスリン抵抗性と尿酸塩の腎排泄に長期的に影響を与えることが報告されています。

3. 代謝異常

高尿酸血症は、体内の尿酸の代謝過程で異常がある場合にも発症することがあります。
尿酸の生成が過剰であったり、尿酸の腎臓からの排泄が不十分であったりすることが考えられます。
代謝異常には、遺伝的な要因によるものや、他の疾患(例:痛風腎や腎不全)に関連するものがあります。

4. 薬物

一部の薬物は高尿酸血症の原因となることがあります。
例えば、利尿剤や抗結核薬(ピラジナミド、エタンブトール)などが副作用として尿酸排泄を妨げる可能性があります。

5. 肥満・メタボリックシンドローム

肥満は高尿酸血症のリスク要因として知られており、肥満の人々は尿酸の生成が増加することがあります。
また、肥満に伴うインスリン抵抗性が高尿酸血症と関連することもあります。

高尿酸血症の症状および合併症

高尿酸血症の合併症は、尿酸の異常な蓄積が体内で起こって引き起こされます。
高尿酸血症の主な合併症について説明します。

痛風(Gout)

痛風(痛風性関節炎)は、高尿酸血症の最もよく知られた合併症の一つです。
尿酸結晶が関節内に堆積し、急激な関節痛、腫れ、発赤を引き起こします。
特に足の親指の付け根(拇趾関節)や膝関節、踝(くるぶし) が影響を受けやすいです。
痛風発作は夜間に始まることが多く、非常に激しい痛みを伴います。
これは夜間は脱水になりやすく、関節内の尿酸濃度が高まり、結晶ができやすいからです。

尿路結石(Urolithiasis)

尿酸は通常、腎臓で濾過され尿中に排泄されますが、この尿酸塩が尿路内で結晶化し堆積すると、尿路結石を形成する可能性があります。
尿路結石は尿管、膀胱、尿道などの尿路で発症し、激しい腹痛や腰痛、血尿などを引き起こします。
また再発も頻繁に見られ、尿路感染症(Urinary Tract Infections, UTI)のリスクも高めます。

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease, CKD)

長期的な血中尿酸値の上昇は、慢性腎臓病のリスクを増加させます。
尿路内で尿酸結晶が沈着すると、そこで炎症や尿路損傷が起き、腎臓への負担が増加します。
また、高尿酸血症は高血圧のリスク因子として関連付けられており、それに伴う高血圧性腎硬化症で腎機能低下を引き起こす可能性があります。

メタボリックシンドローム

高尿酸血症、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が同時に存在する場合、メタボリックシンドロームのリスクが高まります。
その結果、狭心症や心筋梗塞といった心血管疾患(冠動脈疾患)を引き起こす可能性が強まります。

高尿酸血症の診断および検査

診断基準

高尿酸血症の診断基準は、男性では血中尿酸濃度が7.0 mg/dL以上、女性では6.0 mg/dL以上の場合、高尿酸血症と診断されます。
ただし、個々の病院や診療所で使用される基準値が異なる場合があります。
検査は主に血液検査にて行われます。
血中の尿酸値やC-反応性蛋白(CRP)を測定することにより、痛風の発症に伴う炎症性変化含め検査可能です。
また、尿路結石を併発している場合、腹部超音波検査やX線検査が有効な場合があります。

高尿酸血症の治療法

食事療法

プリン体は体内で尿酸に変換されるため、高プリン体食品の摂取は控えましょう。
これには内臓(肝臓、腎臓、心臓)、赤身の肉、ビールなどが含まれます。
また、砂糖とフルクトースの過度な摂取は高尿酸血症のリスクを増加させることが知られています。
アルコールに関しては、特にビールが高尿酸血症のリスクを高めることが知られています。
節酒を心掛け、飲酒の際には水分を十分に摂るようにしましょう。
適切な食事、適度な運動を心掛け、健康的な生活を送ることが重要です。

薬物療法

アロプリノール (ザイロリック)
作用機序

アロプリノールは尿酸生成抑制薬です。尿酸の生成を阻害し、血中尿酸値を下げる作用があります。
高尿酸血症の治療に広く使用され、効果が確立されています。
ただし、高尿酸血症以外の要因で尿酸が高い場合には注意が必要です。

フェブキソスタット (フェブリク)
作用機序

フェブキソスタットは尿酸生成抑制薬で、キサンチンオキシダーゼという酵素を阻害して尿酸生成を減少させます。
アロプリノールに比べて高い効果があるとされ、特に重度の高尿酸血症に対して選択されることがあります。
がん化学療法中の高尿酸血症にも用いられます。

トピロキソスタット (トピロリック、ウリアデック)
作用機序

トピロキソスタットは尿酸生成抑制薬で、プリン体から尿酸が産生される際に作用する酵素キサンチンオキシダーゼ(XO)を阻害し、血中尿酸値を下げます。
トピロキソスタットは主に肝代謝を受けるため、腎機能が低下している患者さんにも使用しやすいです。

ベンズブロマロン (ユリノーム)
作用機序

ベンズブロマロンは尿酸排泄促進薬で、尿酸排泄を促進します。
主に腎臓の近位尿細管での尿酸トランスポーター(URAT1)を阻害することで再吸収を抑制した結果、血中尿酸値を下げます。
尿酸排泄促進薬は尿中尿酸濃度が上昇するため、尿路結石が生成されやすくなります。
そのため、ウラリットなどの尿アルカリ化薬と併用されるケースもあります。

プロベネシド (ベネシッド)
作用機序

プロベネシドも尿酸排泄促進薬で、尿酸の再吸収を阻害して尿酸排泄を増加させます。
ベンズブロマロン同様、尿中尿酸濃度が上昇するため、尿路結石が生成されやすくなる点に注意です。
ちなみに、プロベネシドはペニシリンなどの抗生剤の腎尿細管における排泄を抑制し、高い血中濃度を維持する目的で開発された薬剤です。

ドチヌラド(ユリス)
作用機序

ドチヌラドはベンズブロマロン、プロベネシド同様に尿酸排泄促進薬で、主に腎臓の近位尿細管での尿酸トランスポーター(URAT1)を阻害することで再吸収を抑制し、血中尿酸値を下げます。
URAT1選択性が高いため、他の尿酸分泌経路を阻害せず、腎機能低下例にも使用しやすい薬剤です。

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