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動悸症状について

動悸症状とは、「胸がどきどきする」「心臓の鼓動を強く感じる」「心臓が拍動している」「脈が飛ぶような感じがある」など、心臓の不規則な拍動や強い鼓動、脈が速いなどの症状を感じることを指します。これは一過性のものから持続的なものまで、さまざまな程度で現れます。動悸は不整脈の一症状であり、その原因や症状の出方は人それぞれです。動悸症状と一緒に呼吸困難感、胸の痛み、発汗、めまいなどの症状を訴える方もいます。

動悸症状の原因について

①心因性ストレス

心因性の動悸症状とは、不整脈に関連するものではなく、主に精神的な要因によって引き起こされるものです。
精神的ストレス、緊張、不安、疲労、睡眠不足、恐怖、またはパニック障害、感情的ショックなどの要因によって引き起こされます。
自律神経系が過剰に反応し、ストレスホルモンの分泌などが促進されることで循環器系に作用し、動悸症状が顕れます。
これらの症状は通常、心電図(ECG)などの検査において治療適応となり得るような異常が見当たりません。治療に関しては、心理的アプローチが中心となります。認知行動療法や心理療法、症状が強い場合は抗不安薬や、医師の判断でβブロッカーなどの循環動態に作用する薬剤を内服する場合もあります。

②不整脈(期外収縮)

上室性期外収縮(PAC)と心室性期外収縮(PVC)は不整脈の一種で、心臓のリズムが一過性に崩れ、心臓の異常な収縮が生じます。
PACとPVCは多くの場合は良性であり、特定の治療を必要としません。
しかし、症状が持続する場合や心臓に器質的な異常が存在する場合には、適切な評価と管理・治療が重要となります。

1. 上室性期外収縮 (PAC)

心臓は4つの部屋で構成されており、上部2つの部屋(心房)と下部2つの部屋(心室)に分かれます。
PACは心房から発症する異常信号であり、正常な心拍の間に通常のリズムからは外れた収縮が生じます。
心電図上ではPACは異常なP波の後に通常のQRS波が続きます。
原因としてはストレス、カフェイン摂取、刺激性の食べ物・薬物、アルコール、疲労、電解質異常などが挙げられます。
健常者の方にも比較的多く見られるため、PAC単体では臨床的意義は乏しく、経過観察になることがほとんどです。

2. 心室性期外収縮 (PVC)

PVCは心室から発症する異常信号であり、正常な心拍の間に通常のリズムからは外れた収縮が生じます。
心電図上ではPVCは異常なQRS波が見られます。これは通常のQRS波とは異なり、幅広で異常な形状を持っています。
原因としてはPAC同様にストレス、カフェイン摂取、刺激性の食べ物・薬物、アルコール、疲労、電解質異常などが挙げられます。
通常、PVCに対する治療は必要ありません。
症状が強い場合や頻度が多い場合には、抗不整脈薬やβブロッカーなどの薬剤が処方されることもあります。

③不整脈(治療適応となるもの)

不整脈は大きく2つのカテゴリーに分類され、脈が速い頻脈性のものと脈が遅い徐脈性のものに分かれます。

  • 頻脈性不整脈(Tachycardias)
    心房細動(Atrial Fibrillation)、心房粗動(Atrial Flutter)、上室性頻拍(Supraventricular Tachycardia)は心房由来の頻拍発作であり、薬物療法やカテーテル治療の適応となります。心室頻拍(Ventricular Tachycardia)、心室細動(Ventricular Fibrillation)は致死性不整脈であり、薬物療法やカテーテル治療以外にペースメーカーや植込み型除細動器の適応となるケースもあります。
  • 徐脈性不整脈(Bradycardias)
    心拍数が遅くなることを特徴とし、洞性徐脈(Sinus Bradycardia)、房室ブロック(Atrioventricular Block)などが含まれます。経過観察となるものからペースメーカー植込み術の適応となるものまで病態によって治療法は変わります。
頻脈性不整脈(Tachycardias)
心房細動(Atrial Fibrillation, AF

治療適応となり得る不整脈の中でも最も一般的なもので、心臓の上部で不規則な電気信号が発生し、心臓が不規則に動くことから動悸が起こります。
AFは血栓のリスクを高め、脳卒中の原因となることがあります。
薬物療法やカテーテルアブレーション治療にて加療を行います。

心房粗動(Atrial Flutter)

心房細動に似た症状を引き起こす不整脈で、心房が非常に速く拍動します。
心房細動と同様、薬物療法やカテーテルアブレーション治療にて加療を行います。

上室性頻拍(Supraventricular Tachycardia, SVT)

突然の速い心拍数が特徴で、心房細動や心室頻拍とは異なる不整脈です。
特発性のものに関してはカテーテルアブレーション治療が根治術となり、症状を抑える目的で内服加療を行う場合もあります。

心室頻拍(Ventricular Tachycardia, VT)

通常、心室の不規則な拍動が動悸を引き起こし、意識消失や失神、臓器不全を引き起こす可能性がある致死性不整脈の一種です。
心筋梗塞などを含む虚血性心筋症やその他、器質的異常に伴う心筋症などが原因となることが多く、カテーテル治療以外に薬物療法や除細動器を含めたペースメーカー植込み術の適応となることがあります。

心室細動(Ventricular Fibrillation, VF)

最も深刻な不整脈の一つで、心臓が無秩序に震えるように収縮し、血液を送り出せなくなります。
瞬時に対処する必要があり、心肺蘇生の適応となります。

徐脈性不整脈(Bradycardias)
洞不全症候群(Sick Sinus Syndrome, SSS)

心拍数が通常よりも遅いため循環不全が生じ、倦怠感やめまい、意識消失などの症状を来すことがあります。
経過観察となる場合もありますが、ペースメーカー植込み術の適応となるケースもあります。
薬剤性徐脈、つまり薬剤による副作用による場合は内服中止で経過みられる場合があります。
また、スポーツ心臓と呼ばれるアスリートの方で徐脈傾向で推移することもあります。
その場合は無症状のケースが多いため経過観察となることがほとんどです。

房室ブロック(Atrio-Ventricular Block, A-V Block)

房室ブロックは、心臓の電気信号が心房から心室へ適切に伝わらない状態を指します。
Ⅰ度、Ⅱ度(Wenckebach型、Mobitz型)、高度、完全房室ブロックと重症度によって名称が変わります。
無症状ながら健康診断などでⅠ度房室ブロックの疑いなどとはじめて指摘されるケースもあります。
無症状の場合は経過観察となることが多いですが、徐脈に伴う倦怠感や息切れ、意識消失などの症状を来す場合はペースメーカー植込み術の適応となる場合もあり、重症度や症状の有無で治療方針は変わってきます。

徐脈性心房細動(Bradycardic Atrial Fibrillation)

心房細動(Atrial Fibrillation, AF)は通常脈が速くなることがほとんどですが、あまりに早い心房の脈を房室結節が心室に伝えきることができず、結果として脈がゆっくりになる現象をいいます。
心房細動と房室ブロック(Atrioventricular Block, AV Block)の組み合わせで特徴づけられます。
薬物療法とペースメーカー植込み術の適応となる場合があります。

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